【税理士が解説】定期贈与とみなされないためのポイント
贈与は、生前に財産を渡す方法として多くのひとが利用しています。
しかし繰り返しの贈与があった場合、「定期贈与」とみなされ、贈与税の対象となるリスクがあります。
今回は、定期贈与とみなされないためのポイントを考えます。
定期贈与とは何か
定期贈与とは、毎年一定の金額を繰り返し贈与する契約を結んでいたと判断される贈与を指します。
贈与税は、1年ごとに計算される仕組みです。
しかし実質的に複数年にまたがって一定額の贈与が行われている場合、まとめて贈与されたと税務署が判断する可能性があります。
たとえば、親が子に毎年110万円を10年間贈与していた場合、契約内容や贈与の方法によっては「1,100万円を10年に分けて渡した」と見なされる可能性があります。
定期贈与とみなされないためのポイント
定期贈与と判断されないためには、毎年の贈与が「単発の意思によるもの」であることを明確にする必要があります。
ポイントとなるのは、以下の3点です。
- 贈与契約書を毎年作成する
- 贈与の金額や時期を毎年変える
- 受贈者名義の口座に振り込む
それぞれ確認していきましょう。
贈与契約書を毎年作成する
毎年、贈与者と受贈者が贈与契約を結び、その都度契約書を作成しておくと、単発の贈与と判断されやすくなります。
契約書には日付や金額、贈与の目的、署名押印を明記しておくことが大切です。
贈与の金額や時期を毎年変える
同じ金額を同じ時期に贈与していると、税務署に定期贈与と見なされる可能性があります。
あえて金額や時期をずらすことで、毎年の贈与が独立した意思に基づいていると示せます。
受贈者名義の口座に振り込む
贈与は、贈与者が「相手に渡す意思」をもち、受贈者が「もらう意思」をもって成立します。
受贈者名義の口座に贈与金を振り込み、通帳やキャッシュカードの管理を本人にしてもらいましょう。
銀行振り込みなので「贈与の記録」も残り、本人が口座を管理していることから、「形式だけの名義変更」と判断されるリスクも回避できます。
相続税対策としての贈与の注意点
将来的に相続税の負担を軽減するために、生前贈与を行う方も多くいます。
しかし贈与が「形式的なものである」と判断されると、相続税の対象財産に加算されてしまうこともあります。
また、2024年からは「相続時精算課税制度」と「暦年課税制度」の一部見直しも行われており、贈与の取り扱いがより複雑になっています。
制度の内容は定期的に変更される可能性があるため、専門家への相談が欠かせません。
まとめ
今回は、定期贈与とみなされないためのポイントを見ていきました。
毎年の贈与が単発であることを証明できない場合、まとめて課税されるリスクがあるため注意が必要です。
贈与契約書の作成や、口座管理の工夫などを通じて、税務署に正しく意思を伝えましょう。
贈与に関する制度は複雑なため、必要に応じて税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。
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- 代表者
- 滝 亮史(たき りょうじ)
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- 所属団体
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- 近畿税理士会
- 大阪府中小企業診断協会
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- 経歴
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- 税理士事務所、大手税理士法人に約11年間勤務後、平成26年にCISコンサルティング株式会社、滝亮史税理士事務所開設。
- 平成19年税理士登録(登録番号107863)、平成25年中小企業診断士登録(登録番号411767)