株を相続した場合の相続税の計算方法
人が死亡した場合、相続が生じます。相続とは、被相続人の死亡時に被相続人に属していた一切の権利・義務を相続人が承継します。
すなわち、被相続人が株式を有していた場合、当該株式も相続人に承継されます。
そして、相続によって権利義務の承継があった場合、課税遺産に対して相続税が課されます。
このページでは、株式を相続した場合の相続税の計算方法についてご紹介します。
■相続税の計算方法
①まずは、被相続人が有していた財産を網羅的に把握し、それらの額を合わせます。このとき、預金や現金はその額面が遺産の額となりますが、株式や不動産のような遺産は、その「評価額」が足し合わされることになります。
この評価額の計算方法は後述致します。
②①で求めた額から、被相続人の債務の額・葬儀費用を差し引きます。
③死亡時に被相続人が有していなかった財産のうち、死亡前3年以内に行われた贈与によって失われたものは、相続財産として、課税対象になります。よって、これを足し合わせます。
④相続税基礎控除を差し引きます。
相続税基礎控除は、3000万+600万×法定相続人の人数で計算されます。
ここまでで求められたものを課税遺産総額といいます。
これを法定相続人の相続の割合ごとに分配し、それぞれで相続税率をかけたものから、控除額を差し引いたものが法定相続人それぞれの相続税額となります。
よって、これらを足し合わせたものが、相続税総額となります。
■株式の評価額の計算方法
株式とは、会社の重要な事項を決定する権利や配当・剰余金を受け取る権利を細分化したもので、会社の所有権のようなものをいいます。
株式は大きく2種類に分けることができます。
上場会社が発行する上場株式と、非上場会社が発行する非上場株式です。
以下、これらを分けて解説いたします。
・上場株式
上場株式とは、東京証券取引所などに上場して、一般に取引がされている株式会社の株式をいいます。
上場株式の特徴は、取引所が株式価格を公表しているため、これを基礎に評価額を計算できる点にあります。
具体的には、亡くなった日(相続開始の日)の最終価額が評価額となります。
もっとも、以下の三つの方法で求めた価格の中で、一番低い価格が評価額となります。
・課税時期の月の終値を平均した額
・課税時期の前月の終値を平均した額
・課税時期の前々月の終値を平均した額
・非上場株式
非上場株式は、上場されていないため、取引価格が公表されていません。そのため、株式(ないし会社)の価値を表す指標が少ない状態です。
具体的な算定方法は以下の通りです。
①類似業種比準価額方式
類似業種比準価額方式とは、評価対象の会社と類似する内容の事業を行っている上場会社の株価を基礎に計算する方式をいいます。
②純資産価額方式
純資産価額方式とは、会社財産の評価額を基に、一株当たりの純資産額を算定する方式をいいます。
③配当還元方式
特定的評価方式においては、配当還元評価方式と原則的評価方式で算定された評価額のうち低い方を採用します。
配当還元方式とは、直前の期末以前の2年間の年平均配当金額をもとに計算する方法をいいます。
株式にかかる年間の配当金額÷10パーセント×1株当たりの資本金等の額÷50円で算定します。
非上場株式の評価額の計算は国税庁の定める基準によって行われるため、実際よりも高額になる傾向にあります。
また、上記計算方法のうちどの計算方法を使うのかについては、対象会社が同族会社なのか・支配株主がいるのか・特定評価会社なのかといった事情を考慮して判断され、それらの判断にも専門的な知識を有する必要があります。
以上のように、相続税の計算方法一般が複雑であるのみならず、前提となる株式の評価額の計算にも複雑な専門知識を必要とするため、専門家に相談することが好ましいといえます。
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- 代表者
- 滝 亮史(たき りょうじ)
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- 所属団体
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- 近畿税理士会
- 大阪府中小企業診断協会
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- 経歴
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- 税理士事務所、大手税理士法人に約11年間勤務後、平成26年にCISコンサルティング株式会社、滝亮史税理士事務所開設。
- 平成19年税理士登録(登録番号107863)、平成25年中小企業診断士登録(登録番号411767)